29日(金) 宿酔で姪っ子と遊びまわる
上野から新幹線で3時間ちょっと。 いつもならカップ酒をちびちび飲みながら文庫でも読んで移動することが多いのですが、前日は飲みすぎた。池袋の『とりの』でシャモロックを食べ、『アントニオ猪木酒場』、『ラヂオホール』とはしご。寝たのは1時半。起きたのは5時。もう飲めない。 というわけで車中はずっと睡眠。あっという間に目的の駅に着く。 自宅に着くやいなや、郊外の大型ショッピングセンターへ。宿酔のまま、姪っ子の遊びに引っ張りまわされる。
30日(土) 酒と温泉と海の幸と
続いて麹室(こうじむろ)へ。二重構造になっており、入り口付近の枯場(かれば)には麹が置かれていた。温かい麹をいきなり外へ出すと露がつくので、一度ここで冷ますらしい。興味があったので食べてみてもいいですかと訊ねると、いいですよと快い答え。ぱりぱりとした食感でほんのりと甘く、優しい味わいだった。 なかへ入ると麹床(こうじどこ)や普通酒用の製麹機(せいぎくき)、吟醸酒用の麹蓋(こうじぶた)、麹箱(こうじはこ)があった。製麹を行っていないにも関わらず暖かかった。 麹の話になり、清酒で使われる黄麹を見せてもらった。実際に見るのは初めてでしたが、黄色というよりも緑色なんですねえ。ぽんぽんと叩くと、胞子が散った。これが大事らしい。 以前、黒麹で造った清酒を飲んだら酸っぱかった(酸度は3.3)という話をしたところ、伊藤さんも実験的に白麹で試してみたことがあるらしく、やはり酸っぱかったらしい。白麹は黒麹の突然変異なので、同じような感じになるのでしょうか。
そんな話をしたあとは、醪(もろみ)タンクが置かれている部屋へ。 年内(2006年)は12本、年明けは40本仕込むとのこと。いまは純米吟醸の醪が2本あり少し飲ませてもらったところ、非常に高い香りに驚いた。仕込みから2週間ほどらしいのですが、このくらいが一番香りが高くなるらしく、瓶詰のころにはこの20%残っていれば上出来かな、と言っていた。この驚きの香りは蔵に行かないと体感できないですねえ。 醪を見たあとは下に降りて、濾過機の説明。濾過は概念としてイメージにあったのですが、こうやって機械や珪藻土(けいそうど)を見るのは初めて。勉強になった。
次はヤブタ。これはほかの蔵でよく見るので知っていたのですが、幾重にも重なる布の角のところに穴があり、そこに醪を流すのは知らなかった。これまた勉強になった。 すぐ目の前には酒粕が入ったダンボールが並べられていて、「うちは酒よりも酒粕のほうが人気があって」と笑っていた。いやいやいや、酒のほうが大人気でしょ、と突っ込んでみたり。 ひと冬で約3トンの酒粕が出るらしく、「酒粕が売れたお金で次の年の米を買っている」とも笑っていた。とてもフランクな方らしく、どこまで本当でどこまで冗談なのやら。 出掛けに母親に酒粕買ってきてと頼まれたので、自分用のものと合わせて5kg買った。訊くと、『陸奥八仙 吟醸 あらばしり 無濾過生原酒』を搾った酒粕らしい。袋を開けなくてもいい香り。
そんな感じで見学は終わり、しばし雑談。 興味深く思ったのは、次の造りの米の発注を業者にするのは2月だということ。というのも、酒造好適米は一般米とは違い多くを作るものではなく、その春には農家に「これだけを」とお願いしなければならないから。まだ造りをしている時期に、次の年度の造りの設計をすべて考えていなければならないというのは大変だなあと、素人ながらに思ったり。 また意外だったのは、伊藤さんが下戸だということ。おじいさんの代から杜氏だそうですが、3人とも下戸だとか。逆にまったく飲めないほうが冷静に判断できていいのかも、とおっしゃっていた。 その他、春には面白いにごり酒を考えているらしく、いまは研究中らしい。それが酒販店に並んだら成功したんだなあと思ってくださいと、笑っていた。この意欲、陸奥八仙ファンとしては楽しみであり、また今度はどういったものが出てくるのだろうと期待してしまいますねえ。 『陸奥八仙 吟醸 あらばしり 無濾過生原酒』、『陸奥八仙 槽酒 おりがらみ』、『陸奥八仙 旬のにごり酒』の3本を買い、最後は蔵の前で記念写真。 2月には一般の人も酒造りに参加できるイベントがあるらしく、タイミングが合えばぜひお邪魔したいなあと思ったり。陸奥八仙、いままで以上に応援したくなりました。
見学を終えたあとは、八戸市内の酒販店『くるみや』へ。ここはネットで知り、以前から気になっていた店。ホームページからも伝わるように、清酒に対する情熱が店内にあふれ、品揃えを見れば見るほどそのラインナップに嬉しくなったり。 先ほどの見学のときにはなかった『陸奥男山 がんじゃ 里山の酒』を買った。
その後、ちょうど昼時でもあったので、八戸市民の台所『八食センター』へ。魚介類や牛肉、清酒を買い込み、店内の七厘村に持ち込み、その場で焼いて食べた。
酒コーナーでは陸奥八仙(青森県八戸市)、豊盃(青森県弘前市)、中村亀吉(青森県黒石市)、菊駒(青森県三戸郡五戸町)の4つの蔵が試飲をしており、まずは八戸酒造の駒井秀介さんにご挨拶。池袋でシャモロックを食べましたよ、といった話で盛り上がり、今度機会があったらぜひ東京で飲みましょうと、その場を辞した。 続いて豊盃。この季節だけの『豊盃 純米しぼりたて生』と『豊盃 ん 生』はどちらも個性があり、両方おいしかった。両方買った。 蔵見学は受け付けていますかと訊ねたところ、冬の造りの時期にぜひいらっしゃってくださいという答え。機会があったらぜひ一度伺いたいですねえ。 次は菊駒。どれもまずまず満足の味わい。同じ会社の別の蔵が出す『三戸のどんべり』を買った。 最後は中村亀吉。失礼ながら存じない蔵でしたが、以前、豊盃の杜氏だった方が醸す蔵だそうで。 タイプの違う3種を試飲したところ、どれもこれもはじめは穏やかだが二口三口と飲み進めるうちにどんどん旨味が増しきて止まらない濃醇旨口の酒で、しみじみと旨い。営業さん曰く、造りが小さいのでdancyuなどの取材もすべて断っているとか。少し迷い、『亀吉 純米吟醸』を買った。今後注目したい蔵をひとつ発見。 ちなみに以前、田酒の杜氏だった方と、この中村亀吉の杜氏と、菊駒の杜氏(⇒菊駒の蔵見学の様子はこちら)は仲がいいらしい。 田酒は杜氏が代わり、菊駒は杜氏がご病気になられ、青森の酒の世界もひとつの時代の変わり目なのかなあと寂しく思う一方、陸奥八仙や豊盃といった若い力もぐんぐん評価を上げてきているわけで、飲み手としては「あのときあれを飲んでおけばよかったなあ」といった後悔をしないような飲み方がしたいと、ふと思った2006年の年の瀬。
腹もいっぱいになり、八戸から一気に二戸まで移動。目指すは座敷わらしで有名な緑風荘。 この温泉は前回行ったときにいたく気に入ってしまった。なにもなく、ひっそり閑としているのがいい。
31日(日)〜1(月) のんびり
『尾形』で馬肉料理を食べようとしたら休みだった。ぐうたらに過ごした。
2日(火) そして帰途