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夏の帰省 - 2006年8月13日(日)〜8月17日(木)

13日(日) 犬散歩、同級生と飲み

 上野から新幹線で3時間ちょっと。
 清酒党としては、旅のお供は缶ビールではなくカップ酒。というわけで、キオスクで『ふなぐち菊水一番しぼり』を購入。

 岡本綺堂『半七捕物帳』を片手に、ぐびりぐびり。  
ふなぐち菊水一番しぼり




 夕方。犬の散歩。汚れるのでツナギを着て。
 二匹とも散歩に出る前から舌を出してはあはあ言ってる。確かに暑かった。

ラン
ラン:生後1年(30kg)
ラン:生後1年(30kg)
テツ:生後1年半(35kg)
テツ:生後1年半(35kg)

 ってかランのやつ、半年前はあんなにかわいかったのに、あっという間に大きくなっちゃって……。
 面影もへったくれもない。  
2005年12月(半年前)のラン
2005年12月(半年前)のラン




 19時半。高校時代の友人6人で、地元の飲み屋『三八一(みやいち)』へ。
 半年振りに行くと、店内のレイアウトが変わっていた。品揃えも、清酒(カップ酒含む)がぐっと増え、以前の洋酒一辺倒の雰囲気はなくなっていた。

 まずは『初孫』で乾杯。ほっと息をつく。続いて『開華』や『新政』を自分で冷蔵庫から持ってきて、「これもらうね」と勝手にやる。

初孫 純米酒
初孫 純米酒
開華
開華みがき
新政の米人
新政の米人

 店内を見渡すと梅酒もあるようで「どのくらいあるの」と訊くと十種類くらいテーブルに持ってきた。そのうち清酒ベースは四種類。それぞれ味見をさせてくれ、気に入ったものをボトルで入れた。定価の1.5掛けくらいだったと思う。やけに安かった。

 この店は酒の品揃えは面白いのに、料理は思いっきり手を抜いている。メニューに「インスタント×××」と書いている開き直りっぷりが、いっそ気持ちいい。
 真空パックものですが、揚げ物はおいしいんですよねえ。行くたびに必ず頼んでしまう。

梅酒(清酒ベース)
梅酒(清酒ベース)
すごいメニュー
すごいメニュー
揚げ物
揚げ物
揚げ物
揚げ物

14日(月) お好み焼き、姪っ子と花火

 昼は従兄弟とお好み焼き。「お客様×名さまです。ぽんぽこぽーん」と言うふざけた店で、広島風お好み焼きをいただく。
 広島に住んでいたときはよく食べたものですが、それはあくまでもお店が出すものであり、自分で作るのは初めて。なかなかに難しいものですねえ。

 帰ると「いい匂いがするー」と姪っ子が抱きついてきた。ん、なんの匂いだろうと思っていると、「ウインナーの匂いがする」と言う。子供の発想はときに面白い。




 夜は花火。
 姪っ子は怖がってやりゃしない。大人だけが騒ぐ。

花火
花火

15日(火) 焼肉屋

 昼は墓参りに行き、夜は従兄弟と焼肉屋。ねぎ塩カルビ、おいしかった。

ねぎ塩カルビ
ねぎ塩カルビ

16日(水) 蔵見学(桃川、八戸酒造)

 この日は蔵見学が二件。11時から桃川(青森県上北郡おいらせ町)、15時から八戸酒造(青森県八戸市)という約束。
 高校時代の友人と4人で予約していましたが、ひとりが急に都合が悪くなり、3人で行くことに。

 まずは11時の桃川
 営業のかたが出迎えてくれ、ひとしきりの挨拶が終わったあと蔵へ。蔵の間取り図や酒造りの工程のパネルが用意されており、見学初心者にとってはとても優しい。このパネルを前に、桃川の商品や歴史などを聴く。

 おもな酒銘は『桃川』『ねぶた』『杉玉』の三種で、これらは当然のことながら登録商標。「ねぶたや杉玉など、いち早く申請したところは、昔の人は先見の明がありましたねえ」と言っていた。確かにごもっとも。

 ちなみに桃川は青森県内ではもっとも生産量が多く、14,000石。地方CMもばんばん流しているような大手企業です。
 ほぼすべてがオートメーション化されており、この量を造るには江戸時代であれば300人ほど必要だったのが、現代では30人で足りるとか。
 冬になると、南部杜氏発祥の地である石鳥谷町(合併により現在は花巻市)より5人の蔵人を招き、造っているそうで。
 桃川ではあえて“杜氏”というものは設けず、5人の蔵人すべてを杜氏と呼んでいるとのこと。ちょっと珍しいですね。

※1石=10斗=180升。14,000石だと一升瓶換算で252万本。

菰樽
菰樽
仕込水は弱軟水
仕込水は弱軟水(クリックで大きな画像を表示)
蔵の間取り図
蔵の間取り図
酒造りの工程
酒造りの工程

 瓶詰めラインは一升瓶、小瓶(四合瓶・300ml・180ml)、カップ酒、パック酒の4本あり、ラベルの貼り付けだけではなく、ダンボールへの梱包や倉庫への移動まで行うというからすごい。
 以前どこかでカップ酒は手間が掛かるというのを聞いた事があり、その辺はどうなんですかと訊いたところ、「いや、そんなことないですよ」というあっさりした答え。「小さいお蔵さんだと手詰めで大変かもしれませんが、うちは機械がやってくれますので……」なんてことをおっしゃっていた。んー、なるほど。

瓶詰めライン
瓶詰めライン
かなり広い
かなり広い

 場所を移動して、今度は見学施設へ。その途中大きな酒林を見つけ、記念にぱちり。
 なんでも500kgあるらしく、5人がかりで3日かけて作るとか。
 酒林の中心部には籾殻を入れた麻袋があり、それに杉の枝をぶすぶすと刺し、バリカンのようなもので大雑把に刈り込んだあと、枝切りばさみできれいに整えるらしい。ほえー。

 そして見学施設。ここでは酒造りのビデオ(10分程度)を観て、そのあと試飲。
 大吟醸はあまりぴんときませんでしたが、一番安い純米酒はおいしいですね。甘みの余韻があり、結構好きかも。

 ちなみに桃川ではアメリカ・オレゴン州にSakeOneという工場を持ち、生産・販売も行ってるとか。米は日本から送るのですか、と訊いたところ、カリフォルニア米を使っているとのこと。ん、それは一度飲んでみたい。話の種として。

見学施設『おいらっせ桃川』
見学施設『おいらっせ桃川』
酒造りのビデオ
酒造りのビデオ
お待ちかねの試飲
お待ちかねの試飲
見ためはワインのようなアメリカ産清酒
見ためはワインのようなアメリカ産清酒

 酒を一本と枡を買い、お土産にカップ酒をいただいた。
 お盆明けというのにわざわざ出張ってもらい、本当に恐縮でした。お礼をいい辞去する。クルマが出るまで見送ってくれたのが印象的でした。  
酒と枡とカップ酒




 見学を終えたころ、午前中こられなかった友人から連絡。合流し、ちょうど昼時でもあったので、八戸に住む友人のおすすめの洋食店『チャペル』へ。半熟の卵焼きに自家製デミグラスソースがたっぷり掛かったオムライス。おいしかった。

 次の八戸酒造(青森県八戸市)の見学の約束は15時。2時間ほど時間があったので、八戸市民の台所、八食センターへ。夏冬恒例の「吟撰酒祭」が行われており、青森、秋田県内の酒を試飲して回る。
 八戸酒造の『陸奥八仙』もあったので、「15時から見学に行くんですよ」と言ったところ、「あ、わたしが案内するんです」という答えが。先に顔合わせするのも面映いものですねえ。『陸奥八仙』ほか『陸奥田心』、『陸奥男山』などを試飲させてもらい、それではのちほど、と、いったん別れる。

『チャペル』のオムライス
『チャペル』のオムライス
八食センター「吟撰酒祭」
八食センター「吟撰酒祭」



 15時、八戸酒造
 先ほどお会いした駒井秀介さん(蔵元の息子さん)に迎えられ、見学がスタート。

 製品ラインナップが書かれた紙をもらい、まずは八戸酒造の歴史について聴く。
 少しややっこしいのですが、青森県南には八戸酒株式会社というものがあり、「八鶴」「みなと(旧:男山)」「菊駒」「稲川」「花開」の5つの工場がある。これは戦時中の国策で造り酒屋の合同が行われたもので、もともとは独立した蔵だった。
 現・八戸酒造は、以前は八戸の湊(みなと)の地にあったのだが数年前に八戸酒から抜け、裸一貫で酒造りをはじめることに。その際、八戸は類家(るいけ)の地に造りをやめた「福牡丹」という蔵があり、社長同士が懇意にしていた関係から、この地で造りを始めることにしたという。
 なお、現在は「みなと(旧:男山)」「稲川」「花開」では酒造りをやめており、ブランドとして名前が残っているだけらしい。
「湊は実家のある場所なので、近いうちに戻ることになるかもしれません」と言っていたのが印象に残った。

※以下、わたしが以前新聞で読んだ豆知識。

 八戸酒造といえばまず「陸奥八仙」が思い浮かぶが、そのほか「陸奥男山」という酒銘も出しており、これは以前、登録商標の問題で裁判になった。
 八戸酒造でも八戸酒類男山工場(現:みなと工場)でも同じ名前で販売しており、当然といえば当然なのですが、結局は八戸酒造が勝った(商標を取ったのが現・八戸酒造の蔵元だったため)。その結果、男山工場はみなと工場と名前を替え、ブランド名も新たに「蔵物語」とした。


 そんな話を聴いたあとは、心臓部でもある醪タンクが置かれている部屋へ。
 ここには5,000リットルタンクが25本と、3,000リットルタンクが2本あり、造りの時期は5,000リットルタンクが2回転、3,000リットルのほうは1回転するという(八戸酒造の生産量は年間約1,000石)。
 また、八戸酒造では泡なし酵母(末尾が01。9号の泡なし酵母であれば901号)を主に使うとのことですが、素人には泡ありと泡なしの違いが分からない。すると、造りの時期であれば醪や酒母を味わっていただけるんですけどねえ、とおっしゃった。ん、それは試したい!

3,000リットルタンク
3,000リットルタンク
主に大吟醸を造る
5,000リットルタンク
5,000リットルタンク

 ひと通り見学を終えたあとは、いよいよ試飲。ずらりと5種並べられた。
 同じタンクでも、原酒のもの、加水したもの、寝かせたものと、比べられるのは楽しい。友人とあれがいい、これがうまいと話しあう。
 以前から陸奥八仙は好きでしたが、これを飲んでますますその傾向が強まった。本当に、おいしい。これはすごい。

 駒井さんに「ほかの蔵で好きな酒銘はなんですか?」と訊くと、山形のあれや大阪のそれという答えが返ってきた(差支えがあるといけないので一応伏せておきます)。ほほう、なるほど。

 現在の杜氏は伊藤賢一さんといって30台中盤。駒井さんは20台後半。どちらも若い。
 前杜氏は伊藤さんの父親で、やはり駒井さんの父親と一緒に造りを行ってき、そのまた父親もそれは同じだそうで。3代続くこの関係、なんかすばらしい。

 駒井さんはかなりの頻度で東京にきているらしく、普段よく行く居酒屋について盛り上がる。また、陸奥八仙の買える店も聞いた。

 青森ではどこの酒販店でも見かけるのですが、東京では扱っている店が少ない。それは品質管理の悪い店やディスカウントショップに置かれることで、価値を下げたくないためだという。ブランドを守るという意味では、いい信念ですね(地元では昔からの問屋の付き合いがあるのでしょうがない部分もある、とも言っていた)。
 ホームページを作ってオンラインショップをやらないのですかと訊ねると、いまのところその予定はないらしい。いかんせん生産量が少ないから……と笑っていた。

陸奥八仙 試飲
陸奥八仙 試飲
あああ、全部うめえ
あああ、全部うめえ

 そんな感じで話は弾み、最後は蔵の前で記念写真。
 造りの時期ではないのではじめはどうかなと思っていましたが、十分に楽しむことができました。予想以上に得るものが多かった。
 酒を一本と枡を買い、お礼をいい辞去。陸奥八仙、ますます応援したくなりました。

上段真ん中は駒井さん。その前にしゃがむのはわたし
上段真ん中は駒井さん
その前にしゃがむのはわたし

17日(木) そして帰途

 帰りの新幹線もやはり清酒。糖類も添加されている『南部美人 上撰カップ』を二戸駅のキオスクで購入。
 今回の帰省では、八戸酒造(青森県八戸市)の蔵見学をできたことが一番の収穫でした。以前から好きな銘柄でしたが、ますます追っかけてみたくなった。今度は冬の造りの時期にぜひ伺ってみたいです。  
南部美人 上撰カップ