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映画レビュー [ラ行]

ライフ・イズ・ビューティフル

 1939年、イタリア、アレッツォ。ユダヤ系イタリア人のグイドは本屋を開きたいがため、この街に住む叔父さんを頼りに移り住んでくる。そしてこの街で出会ったひとりの小学校教諭、ドーラに恋をする。お調子者で要領のいいグイドは運命的な出会いを演出し、見事ドーラのハートを射止めることに成功。やがてジョズエというかわいい男の子を儲ける。
 しかし時勢は第二次世界大戦直前。グイドとジョズエはユダヤ系という理由で強制収容所へ連行されてしまう。戦争がなんたるかまだ分からないジョズエに、グイドはひとつの大きな嘘をつく。それはとても素敵な優しい嘘……。


 ――life is beautiful―― ひとりの男の美しい半生を観せてもらった。
 ――a lie is beautiful―― 粋な大人の美しい嘘に魅せられてしまった。

 まず辞書を開いてみてください。「嘘=悪」とはどの辞書にも書いていないはず。悪い嘘というのは利己的な嘘を言うのではないでしょうか。他者を思いやる利他的な嘘は、一概に悪いとは言えないのではないでしょうか。
 「真実を告げるにはあまりにも酷で不憫でならない」という状況は、誰にだって起こりうる可能性があります。「知らないほうが幸せ」ということも確かにあるし、「人間関係を円滑にするための優しい嘘」ならつきたいし、つかれても構わない。そういう嘘であれば、たとえ「真実を伝えなかった」と責められることがあったとしても、胸を張っていられるような気がします。

 優しい嘘は波風立てないための知恵。方法や手段にすぎないのですね。厳しい現実をユーモアや機知で乗り越えるさまは非常に力強く、誰かのために必死になる姿には、心揺さぶられてしました。優しい嘘というのは、ただの優しさよりもずっとずっと深く大きいと感じました。

 ただ、観ていて「先が読めるような作り」とか「感動させようとしている」といったあざとさも感じられなかったわけではないのですが、この際そこには目を瞑りましょう。いい作品に対しては「わざと騙される」ことも観客としての優しい嘘ですから。


■私的メモ
○グイドにとっては家族こそが生きがいで、我が子に嘘をつき真実を告げないことで、我が子もそして何よりもグイド自身が救われているような気がしてならない。
○第二次世界大戦(World War II)
  1939(昭和14)年〜1945(昭和20)年

2002年5月29日(Video)

表題 La Vita e bella(ライフ・イズ・ビューティフル)
(1997年 / イタリア / 117分)
監督 ロベルト・ベニーニ
脚本 ロベルト・ベニーニ / ビンチェンツォ・チェラーミ
撮影 トニーノ・デリ・コリ
音楽 ニコラ・ピオバーニ
出演 グイド ……………… ロベルト・ベニーニ
ドーラ …………… ニコレッタ・ブラスキ
ジョズエ …… ジョルジオ・カンタリーニ
[DVD]
ライフ・イズ・ビューティフル

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 価格:¥3,990(税込)

羅生門

■内容
 あらすじはAmazon.co.jpをご参考ください。


■感想
 事件の当事者である3人(死んだ1人はイタコの口寄せを使って)がそれぞれ事件について話すんだけど、どうにも話がかみ合わない。それを見ていた死体の第一発見者も話すんだけど、ますます話がかみ合わない。
 それぞれがそれぞれのエゴで話しており、「人間とはつくづく自分勝手な存在」ということを、これでもかというほど突きつけられる。こんなに人間の本質を問う映画が他にあろうか。黒澤すげえ。ただすごいの一言に尽きる。

 例えば、順風満帆でなにをやってもうまくいく時期にこの映画を観ると、適度な抑止力になるかもしれない。「自分勝手に生きてはいないだろうか」と自己を見つめることができるかもしれない。そんな深い映画です。


■私的メモ
 ○杣(そま)=薪の意。きこり、杣人(そまびと)、杣夫(そまふ)。
 ○原作:芥川龍之介「薮の中」

2003年8月24日(Video)Good!

表題 羅生門
(1950年 / 日本 / 87分)
監督 黒澤明
脚本 黒澤明 / 橋本忍
原作 芥川龍之介「薮の中」
撮影 宮川一夫
音楽 早坂文雄
出演 多襄丸 …… 三船敏郎
真砂 ……… 京マチ子
杣売 ………… 志村喬
金沢武弘 …… 森雅之
旅法師 ……… 千秋実
下人 …… 上田吉二郎
巫女 ……… 本間文子
放免 ……… 加東大介

スタッフ、キャストは「日本映画データベース」を参照。
[DVD]
羅生門

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 価格:¥4,935(税込)

ラストタンゴ・イン・パリ

 パリ、昼下がり。空き部屋を探す "ジャンヌ" は入室可の張り紙を見つけ、古びたアパートメントを覗き込む。ところがその部屋にはいつの間にか中年男 "ポール" が入り込んでおり、借りる借りないの問答をしているうちにどちらともなく淫靡な雰囲気になり、激しく身体を重ねてしまう。
 ふたりは名前も素性も言わないことを条件に、この古びた部屋で逢瀬を重ねて行くのだが、この非日常的な生活も次第に日常に引きずられるようになり、破綻が生じてくるのだった。


 んー、素晴らしく洗練された脚本ですね。30年前の作品なのに少しも風化していません。分かる分かる度100%です。作中の音楽も非常に効果的で、ちょっとした感動です。
 この作品では対比がうまく使われています。虚構を現実としようとする若者 "トム" (ジャンヌの恋人)と、現実を虚構としようとする中年 "ポール" (ジャンヌの浮気相手)。トムは結婚(=責任)という形で大人になりたがり、ポールは名前も素性も知らない無責任という形で子供に戻りたがる。ふたりの間で揺れるジャンヌはどちらを選ぶのか。
 あのラストシーンでは、男の弱さと女の強さが見事に描かれています。結局男は女を理解しきれないのだよとベルトルッチ監督は言いたかったのかもしれません。最後の最後で強烈な皮肉を見せてくれました。

2002年5月7日(Video)Good!

表題 ULTIMO TANGO A PREGI(ラストタンゴ・イン・パリ)
(1972年 / フランス・イタリア / 124分)
監督 ベルナルド・ベルトルッチ
脚本 ベルナルド・ベルトルッチ / フランコ・アルカッリ
撮影 ビットリオ・ストラーロ
音楽 ガトー・バルビエリ
出演 ポール ………… マーロン・ブランド
ジャンヌ …… マリア・シュナイダー
トム …… ジャン・ピエール・レオー
………………… マッシモ・ジロッティ
[DVD]
ラストタンゴ・イン・パリ

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 価格:¥2,625(税込)

ラッキー・カフェ

■内容
 末っ子エディの語りで進められていく回顧録。
 父ダニーロと母ローザはイタリア人。ふたりは母の元婚約者バーバリーチャから逃れるようにロンドンへ渡り、ギャンブルが元で大金を手に入れ、「ラッキー・カフェ」を経営する。
 一家は父、母、ローザの母シビラ、長男ブルーノ、長女アンジェリカ、次女テレサ、末っ子エディの7人暮らしだったが、あるときダニーロの父ノンノがやってくる。またちょうどその頃、家を出たいブルーノとダニーロの対立があり、元婚約者バーバリーチャが街へやってきて、一家に波風が立ってくる。


■感想
 ギャンブルで金を手に入れ、ギャンブルで金とそれ以上のものを失い、またギャンブルで失った大切なものを取り戻すといった映画。
 これといった面白さのある映画ではないような気が……。すごい普通の映画。

2003年10月1日(Video)

表題 Queen of Hearts(ラッキー・カフェ)
(1988年 / イギリス / 113分)
監督 ジョン・アミエル
脚本 トニー・グリゾーニ
撮影 マイク・サウソン
音楽 マイケル・コンヴェルティーノ
出演 末っ子、エディ ………………………………… イアン・ホークス
父、ダニーロ・ルカ …………………………… ジョゼフ・ロング
母、ローザ ……………………………………… アニタ・ザガリア
祖父(ダニーロの父)、ノンノ ……… ヴィットリオ・デューゼ
祖母(ローザの母)シビラ ………………… アイリーン・ウェイ
長男、ブルーノ ……………………………… ジミー・ランベール
母の元婚約者、バーバリーチャ …… ヴィトリオ・アマンドーラ

Love Letter

■内容
 あらすじはAmazon.co.jpをご参考ください。


■感想
 友人と映画談義になったとき、「いままで観たなかで1番の映画は?」という話題になり、まっさきに答えられたのがこの映画。2位、3位が思い浮かばないくらいこの映画はいいらしい。そこまでいわれたら観るしかないでしょう。

 で、感想。ひとことで言うなら、「うん、分かる。好きかな」。

 設定的に「でき過ぎだなあ」という突っ込みもないわけじゃないけど、映画だと思えば割り切れる話。話としてよくできている。さしたる矛盾点は見当たらない。

 神戸での博子と秋葉のエピソード、小樽での樹とその家族のエピソード、博子と樹の文通のエピソード、中学時代の樹(少女)と樹(少年)のエピソード。
 おもにこの4つが入り混じり、流れを作っていくわけだが、そのすべてに違った愛のかたちを見ることができ、なんとも例えようのない、感情の混濁に巻き込まれる。

 固執、焦燥、もがき、解放。
 後悔、選択、情愛。
 不信、信頼。
 甘酸っぱさ。ちくりとするような痛み。

 テーマは陳腐で浅いけど、雰囲気のある映画。見せかたはうまい。


■私的メモ
 最後の最後に届けられた図書カード。あれこそがLove Letter?

2003年3月12日(Video)

表題 Love Letter
(1995年 / 日本 / 113分)
監督 岩井俊二
脚本 岩井俊二
撮影 篠田昇
音楽 REMEDIONS
出演 ●神戸
 未亡人、渡辺博子 ……… 中山美穂
 ガラス職人、秋葉茂 …… 豊川悦司

●小樽
 図書館員、藤井樹 ……… 中山美穂
 樹の母、晶子 ……………… 范文雀
 樹の祖父、剛吉 ………… 篠原勝之

●過去(中学時代)
 少女、藤井樹 …………… 酒井美紀
 少年、藤井樹 ……………… 柏原崇

スタッフ、キャストは「日本映画データベース」を参照。
[DVD]
Love Letter

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 価格:¥4,935(税込)

リービング・ラスベガス

■内容
 あらすじはAmazon.co.jpをご参考ください。


■感想
 「相手の好きなようにさせる」というのもひとつの正解だけど、それって100%自分を押し殺していることだからねえ。分からなくはないけど、見ているほうが辛い。
 結局、男も女も寂しいんです。酒が元で女房に捨てらたくせに、最後は女を求める男。男にいいように扱われ、そして捨てられたくせに、また男によりどころを求める女。飾ることない弱い部分がそのまま見えているので、実に生々しい。
 何年か経って観直していると、また違った感想があるかなあと思うような、難しい作品です。

2003年6月29日(Video)Good!

表題 Leaving Lasvegas(リービング・ラスベガス)
(1995年 / アメリカ / 112分)
監督 マイク・フィッギス
脚本 マイク・フィッギス
原作 ジョン・オブライエン
撮影 デクラン・クイン
音楽 マイク・フィッギス
出演 脚本家、ベン …… ニコラス・ケイジ
娼婦、サラ …… エリザベス・シュー
ユーリ ………… ジュリアン・サンズ
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リービング・ラスベガス

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 価格:¥2,500(税込)

猟奇的な彼女

■内容
 あらすじはAmazon.co.jpをご参考ください。


■感想
 ラブコメディだったんですね。借りてから気が付きました。
 笑いどころでは素直に笑えるし、かなり楽しめました。最後の締め方も、予想はできながらもきれい。DVDで手元に置いておきたい一本です。

2004年6月8日(Video)

表題 猟奇的な彼女
(2001年 / 韓国 / 122分)
監督 クァク・ジェヨン
脚本 クァク・ジェヨン
原作 キム・ホシク
撮影 キム・ソンボク
音楽 キム・ヒョンソク
出演 "彼女"  ……… チョン・ジヒョン
キョヌ …………… チャ・テヒョン
キョヌの父 ……… キム・インムン
キョヌの母 ……… ソン・オクスク
キョヌのおば …… ヤン・グムソク
"彼女" の父 ……… ハン・ジンヒ
[DVD]
猟奇的な彼女

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 価格:¥3,990(税込)

レクイエム・フォー・ドリーム

■内容
 あらすじはAmazon.co.jpをご参考ください。


■感想
 「撮りかたに癖があり、面白みがある」といいたいところだけど、この手のものは発想のみに頼りがちなきらいもあるわけで、例えば音を消して観ればこれほどつまらないものはない。
 ドラッグが題材なので現実離れした映像を見せたかったんだろうけども、どうも小手先でいいように翻弄された気がしてならない。

 個人的にはこういった自己責任における堕落や依存というものが大嫌いなので、この手の映画には理解を示せないし、うがった批評をしてしまいがち。この映画を観て「ドラッグは怖い」なんて思う人は初めから手を出さないだろうし、中毒の人は怖いなあとこそ思えどやめることはないだろう。胸糞悪いものを観たなあという感情だけが残る、毒にも薬にもならない映画。

2003年5月19日(DVD)

表題 Requiem for a Dream(レクイエム・フォー・ドリーム)
(2000年 / アメリカ / 102分)
監督 ダーレン・アロノフスキー
脚本 ヒューバート・セルビーJr. / ダーレン・アロノフスキー
原作 ヒューバート・セルビーJr.
撮影 マシュー・リバティーク
音楽 クリント・マンセル
出演 サラ・ゴールドファーブ ……………………… エレン・バースティン
サラの息子、ハリー・ゴールドファーブ ………… ジャレッド・レト
ハリーの恋人、マリオン・シルヴァー …… ジェニファー・コネリー
ハリーの友人、タイロン・C・ラヴ ………  マーロン・ウェイアンズ
[DVD]
レクイエム・フォー・ドリーム

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 価格:¥2,500(税込)

レストラン

■内容
 あらすじはAmazon.co.jpをご参考ください。


■感想
 それぞれ夢を持ちながらも、食いつなぐためにレストランで働く若者の人間模様を描いた作品。
 白人男性と黒人女性の恋愛が主軸にあり、また人種差別問題を扱った作品ではあるんだけど、どこかしら中途半端。最後のほうは白人男性が黒人男性に殺されたりして、おさだまりのパターン。C級映画です。

2003年9月21日(Video)Bad!

表題 Restaurant(レストラン)
(1998年 / アメリカ / 108分)
監督 エリック・ブロス
脚本 トム・カドワース
撮影 ホレイショー・マーキネズ
音楽 セオドア・シャピロ
出演 脚本家を目指す白人バーテンダー、クリス ………………… エイドリアン・ブロディ
歌手を目指す黒人ウェイトレス、ジャニーン・ペギンス …………… エリス・ニール
クリスの元恋人(黒人)、レスリー …………………………………… ローリン・ヒル
役者を目指す白人ウェイター、ケニー・ベイカー …… サイモン・ベイカー・デニー
[DVD]
レストラン

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 価格:¥4,935(税込)